statement
本作品シリーズは、作者自身の胎内記憶に基づく内的経験を起点とし、「言語以前の思考」の可視化を試みるものである。胎内という身体的かつ原初的な環境をモチーフに、「声として発される以前の言葉」──すなわち、認識されながらも発話され得なかった思考の痕跡を、文字的形式を脱構築したかたちで記述している。
ここで用いられる表現は、書道における筆致の身体性と、抽象表現およびオートマティック・ペインティングの手法を横断的に接続するものである。これにより、記号としての文字性を保持しつつも、その意味作用を意図的に逸脱させ、「読むこと」と「見ること」の境界領域に位置する表現を生成している。
また本作の背景には、出生以前から潜在していた存在論的問いがある。すなわち、「生まれてきたことの肯定/否定」という根源的な問いである。この問いは、個人的な家族史と結びつきながら、自己のアイデンティティ形成過程に持続的な影響を与えてきた。2023年に明らかとなった出生時の状況は、この問いが胎児期にまで遡るものであることを示唆し、本シリーズの概念的基盤を補強している。
したがって本作品は、単なる個人的記憶の再現ではなく、「存在の起源における不確定性」と「生の承認」をめぐる実践として位置づけられる。最終的に提示されるのは、自己存在に内在するジレンマからの解放と、それを超えた生の肯定である。
タイトル「Viva la vida」は、「生の賛歌」あるいは「生命への祝福」を意味し、本シリーズ全体の主題を象徴的に示している。
